頭の中を空っぽにするブログ

株式会社ジェネストリームを経営しています。スタートアップ、ベンチャー経営から分かった事や感じた事を書いていきます。

Googleが買収するほど注目するAIの新領域!海外の3つの注目サービス!

こんにちわ。

ジェネストリームの秋貞です。 

 

「自動運転」「IoT」「ロボット」「ブロックチェーン」「仮想通貨」「AI(人工知能)」

最近新聞や雑誌やfacebookを開けば必ず出ているキーワードですね。

 

確かにどれも興味深い内容で、その未来にはワクワクします。

 

我々ジェネストリームは、「Cu-hacker」というスケジュール調整サービスを運営しており、国内外のホワイトカラービジネスマン3万人を有する規模まで成長しました。

cu-hacker.com

 

我々のビジョンは「ビジネスマンの1日を30分増やす」ですが、

生産性に直結した最もホットな分野が「スケジュール調整AI」です。

 

実はこの分野、2013年から徐々に盛り上がってきて、2014年にスタートアップの設立が相次ぎました。

かの有名なポール・グレアムのYコンビネーターが出資していたり、GoogleTimefulというスケジュール調整/タスクマネジメントAIの会社を買収したりと、スケジュール調整AIが密かに注目を集めています。

 

今日は注目の3サービスと、それを運営している会社の創業者や調達状況についてまとめておきます。

 

注目のスケジュール調整AI3選

1. x.ai

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x.aiは、やり取りをしているメールのCCに、Amyというパーソナルアシスタントのメールアドレスを入れておくだけで、相手と自動的にやりとりをして 日程調整を完了させてくれます。

 

これは、2014年4月にDennis R. Mortensen(デニス・R・モーテンセン)という、ビッグデータの分析や最適化のエキスパートのシリアルアントレプレナーが創業しています。

 

総額$11.3M(約13億円)を集めており、実はseedラウンドではソフトバンクキャピタルも投資を行っています。

(参考)https://www.crunchbase.com/organization/x-ai

 

このモーテンセンは、あるインタビューの中でx.aiを創った理由として、

「1%以下の贅沢なホワイトカラーのみがアシスタントを持つことができている。この現状を変えたかった。」

 

と答えています。

(参照)http://labs.openviewpartners.com/xai-dennis-r-mortensen-on-why-every-employee-should-have-a-personal-assistant/

 

現在スケジュール調整AIでは筆頭に立っているサービスです。

 

2. Kono

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Konoは、相手と会う目的に応じて、自動的に日程と場所を提案して調整してくれるスケジュール調整AI搭載アプリです。

 

これは、YJ Minが大学でコンピューターサイエンスを学んだのち、韓国2位のポータルメディアDaumで投資事業を行い、同社退職後エンジェル投資家をしながら創業したスタートアップ。

 

共同創業者であるJung-hee Ryuは2012年にインテルに$30Mで買収された顔認識技術を提供するOlaworksの元CEO。

CTOのMartin Songは、Daum, NHN, Neowiz, and SK Telecomのリードエンジニア。

 

このように韓国のインターネット創業期を戦い抜いた精鋭メンバーがボードメンバーを固めています。

 

またシードラウンドで、$100K(約1,200万円)を500Startupsから調達しています。

 

Konoを創った理由としてYJ Min

「調整をしている間に商談を逃したりということがあったことが原体験になっている。」

と答えています。

(参考)http://www.techforkorea.com/2015/04/15/konolabs-earns-100k-investment-from-500-startups-and-invitation-to-batch-13/

 

3. CLARA

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CLARAはx.aiのように、メールのCCにCLARAというパーソナルアシスタントAIのメールアドレスを入れるだけで、相手と自動的にやり取りをしてスケジュール調整を完了させてくれます。

 

2014年2月19日にMaran Nelson(マラン・ネルソン)と幼馴染のMichael Akilian(マイケル・エイキリアン)によって創業されたスタートアップ。

マラン・ネルソンは2013年テキサス大学を卒業。心理学と神経化学を専攻していました。A/Bテストツールを開発するも事業化は失敗し、その後マイケル・エイキリアンを誘いClaralabsを設立。

マイケル・エイキリアンはAlsop Louie Partnersにてアソシエイトを経験後マラン・ネルソンに誘われClaralabsを設立しています。

 

調達総額は$3−4M(4億円前後)と言われており、Yコンビネーターからの出資を得たあと、セコイアキャピタルからの出資を得たと言われています。

techcrunch.com

 

まだ多くの情報が出てきていないものの、TechCrunchからの評価も高い上に、美人さんであることからも注目を集めています。

 

↓Maran Nelson(マラン・ネルソン)の写真

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jp.techcrunch.com

 

以上、スケジュール調整AIのトップランナー3社でした。

 

語り仲間募集

実はスケジュール調整AIは機械学習に必要なデータフィードバックが兼ね備えられているので、効率的に学習をさせることができます。

 

社会人でも学生でも、エンジニアでも企画者でも結構ですので、この分野に興味のある方は是非ご連絡ください!

いろんなアイデアあるので一緒に未来語りしましょう^^

 

facebook

https://www.facebook.com/yudai.akisada

▼メール

akisada@genestream.co.jp

 

 

ここから先は日米のスケジュール調整に関する文化的違いや、世界的に見た日本の生産性問題、AI領域で戦う上での3つのポイントをまとめたので、興味のある方はお読みください。

 

スケジュール調整AIが海外で注目される理由とは?

日本ではあまりこのスケジュール調整がフォーカスされていません。

この海外と日本の違いはどこにあるのでしょう?

 

これは大きく分けて2つの背景があります。

  1. 課長クラスになるとアシスタントがつく文化
  2. アシスタントが勝手に調整する文化

 

課長クラスになるとアシスタントがつく文化

これは、課長クラスになると高い成果を求められる、かつ人に会う機会も増えるため、その人がやらなくていい仕事は全てアシスタントが巻き取るという文化です。

 

これは成果と生産性を重視する文化ならではですね。

 

その人を課長や部長、役員にあげた意味は、人を束ねたり頭を使って成果を出すことです。

つまり、役職が上がったことに対して発生する雑務は積極的に排除しなければ、役職を上げた意味がないのです。

 

役職に付随して増える雑務に追われて成果がでないのは本末転倒だと考えているのでしょう。

 

アシスタントが勝手に調整する文化

上記の点に付随して、アシスタントは付いている上司と一心同体です。

つまり日本と違い、アシスタントは上司の使いっ走りではなく、自分で考え上司の雑務を積極的に巻き取り上司が働きやすい環境を作ることにあります。

 

一説によると、セクレタリー(秘書)よりもアシスタントの方がスキルが高いとも言われています。

ちなみにアシスタントの年収は5万ドルほどらしいです。

(参照)X.ai’s Dennis R. Mortensen on Why Every Employee Should Have a Personal Assistant - OpenView Labs

 

 

このように、役職と役割が明確になっており、かつその成果を最大化するための仕組みが整っているため、単純な雑務は自動化してしまおうというのが根底にあるのです。

 

また、これだけ価値の高いアシスタントだからこそ生産性をあげられるのですが、逆に言えば年収が高くてパーソナルアシスタントを雇うのにも経済的負荷が高いです。

 

そういった経済的障壁を下げるためにも、安価なAIパーソナルアシスタントのニーズが高まっており、そこにいち早く目をつけたのがx.aiモーテンセンです。

 

生産性とは?

ちょっと話がそれますが、生産性とはなんでしょう?

 

Wikiによると生産性とは、

生産活動に対する生産要素(労働・資本など)の寄与度、あるいは、資源から付加価値を産み出す際の効率の程度のこと

とのこと。

(参考)生産性 - Wikipedia

 

簡単に言うと、

より少ない労力で、より高い価値を生み出すこと

となります。

 

式でいうと、

生産性=アウトプット/インプット

です。

 

その日本の生産性。

2000年に入ってから低いと言われていますが、世界で見るとなんと29位です。

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※16位じゃないの?と思われた方もいると思いますが、それはOECD諸国のみに限った話です。上記が世界151カ国中の日本のランクです。

 

金融や石油工業や都市国家といった、一本の強みを磨きあげている国が生産性が高くなっています。

つまり、戦後の先進国というくくりで世界経済を見てしまうと、自国の立ち位置や戦うべき軸を見誤る可能性もあります。

 

特に、シンガポール(4位)や香港(10位)のような都市国家や金融国家は、生産性の追求がさらにタイトになってくるでしょう。

 

それはこのグラフからも見て取れます。

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リーマンショックのときに、日本だけ生産性が下がっており、海外はむしろ上がっています。

また、日本はまだリーマンッションックの生産性水準にすら届いていません。

 

この背景として、日本はリーマンショック時に人切りという意味でのリストラのみを行っています。(日本のリストラは主に人切りの意味)

しかし海外では、本当の仕組みの改革を行ったため、成果を出せる人間のみを残し、不足する労働力を仕組みで補う仕組みにリストラクチャー(Restracture)できたのだと思います。

 

だからこそ、海外では景気が戻ってくるとさらに伸びる。

反面日本は、人の量に頼った仕組みのままなので、人を増やせないまま残業が増え、生産性が落ちたまま成果も出せないので人を採用できないという負のループに陥っているのだと思います。

 

まとめ 

スケジュール調整AIから生産性の話まで深掘ってしまいましたが、 日本の未来を考える上ではまずこの現状認識が必要だと思います。

 

そして生産性を追求するためにAIに参入する場合、AIは分野ごとに細分化されていくという前提に立つ必要があります。

 

その上で海外の3社の分析から考えると、もしAIでスタートアップしようという際は、

  1. 海外を前提とできる分野への進出
  2. その特定分野のノウハウを持った人材
  3. 機会学習やディープラーニングを学問レベルで学んだエンジニア

という3点が成功の鍵になってくるのだと思います。

 

おまけ

そうはいっても、かわいい子にアシスタントについてもらっているのが一番生産性があがると思います。