1分間に95万回送られているあるアレの未来について考えてみた
こんにちわ。
ジェネストリームの秋貞です。
タイトルの通り、今日は1分間に95万回送られるアレの未来について考えてみます。
(引用元)http://www.be-wave.co.jp/rental-space/event/dj-windows-95-man-at-be-wave-in-tokyo/
※画像と本文は一切関係ありません。「95 image」と検索したら出てきただけです。
この"アレ"とは、メールのこと。
現在世界には、年間50−60兆通のメールが流通していると言われています。
ただし90%以上は迷惑メールとのことなので、有効メール流通量は年間5−6兆通。
1日に換算すると13.8億通、1時間では5,700万通、1分間では95万通。
こんなに利用されているメールですが、
最近チャットをメインとしたサービスに立ち位置を奪われつつあります。
そこでよく話題になるのが「メールはなくなるのか?」問題。
なくなって欲しいという気持ちと、とは言えなくならないでしょという気持ちのせめぎ合いがこの問題を生み出しています。
先に私の結論として、
メールはなくならない。
と考えています。
今日はその理由を考えてみたのでまとめておきます。
メールがなくならないと考える理由
なぜメールなくなる派となくならない派が存在するのでしょうか?
この原因は、シーンによりメールを活用した方が便利かどうかが一緒になって語られるためです。
たとえば友達のやりとりではチャット以外に選択肢がないでしょう。
しかしビジネスシーンやマーケティングという観点では依然メールが有効(=代替手段がない)と考えられます。
私は今回、ビジネスシーンにおいてメールが生き残ると考えたので、その理由を整理していきます。
ビジネスにおいてメールがなくならない5つの理由
私がメールはなくならないと考える5つの理由はこの通りです。
- 公の通信手段としてポジションが確立している
- 社会人としてのID代わり
- メールの使い方は人によって差がない
- CCは関係者への通知とファイル共有の役割を果たす
- 紹介してくれた相手に失礼
これらについて整理していきます。
1. 公の通信手段としてポジションが確立している
メールアドレスは名刺に書かれていることからわかるよう、「ここが私の仕事上の連絡窓口ですと」と宣言していることに等しい。
そのため、ファーストコンタクト時の共通の窓口として機能している。
2. 社会人としてのID代わり
社会では身分を保証するIDという概念がありません。
※名刺は自称の範囲を超えず、あくまでも情報を可視化したものにすぎない。
そこで会社からのメールアドレスを有しているということが、社会人としてのID=信頼性を担保しています。
3. メールの使い方は人によって差がない
メールの使い方の本質として、「メールで連絡がきたら返す」ということに疑いはないと思います。
メールアドレスが書かれた名刺を渡すという何気ない行為で実は、
「私はメールアドレスを持っていて、そこにメールを頂ければちゃんと返信しますよ」
というコンテクスト(=文脈)が伝えられているのです。
このコンテクストは、ライフハックの文脈でよく語られる「仕事のできる人はメールを即レス」という形で強化されていっています。
4. CCは関係者への通知とファイル共有の役割を果たす
メールの2つの大きな発明は、CCと添付です。
これによりCCに入れると、たった1通で
「私はやることをやりました」や
「あなたへのリマインドですよ」
という通知機能を果たすことが可能になるのです。
また添付ファイルを送ることで、ファイルサーバを通さずダイレクトにファイル共有を行うことができます。
これは相手の環境に依存しないので今の時代でも有効な機能です。
5. 紹介してくれた相手に失礼
これが実は心理的側面ではもっとも大きいと思います。
私は起業して間もないころ、B向けのサービスをやろうとしていたにもかかわらず、「名刺はダサい」「FBメッセージで十分」という生意気な考えを持っていました。
そんな折、ある大御所の方に、その方が懇意にされている方をご紹介頂いた時、私は名刺を持っていませんでした。
その時の大御所の方の「今日何しに来たの?」という感じがとても申し訳なく感じました。
それ以来、社外の方とお会いする際は名刺を持ち、メールでのコミュニケーションをとるようにしています。
これは先方にも連絡方法を伝えられないですし、なによりご紹介してくださった方の面子を潰してしまいます。
先方からするとその大御所の方に対して、「そんな常識もないやつを紹介する人なんだ」と心の奥で思われてしまうかもしれません。
こういうことを 避けるためにも名刺とメールアドレスはセットになるのです。
まとめ
一旦ここまでのお話をまとめておきます。
ビジネスにおいてメールは依然有効で、今後数年〜10年は生き残っているはず。
その理由は、関係者への敬意や気遣いという心理的側面に支えられながら、連絡の窓口となり、自己の所属を証明し、必要な人には通知/共有機能を果たせるという機能的価値が大きいから。
上記より、ビジネスでチャットを利用していると言っても、社内のメンバーや気の置けない仲間とはLINEやfbメッセージを使い、対外的にはメールを使うという使い分けが発生しているので、メールなくなるのか論争が生まれているのです。
メールが生き残るというのは、決してタイムラインで昔の情報が流れて検索性が悪いからといった理由や、FBはプライベートなものだからといった単純な理由ではないのです。
補足
上記結論を出すために色々と寄り道しました。
FBグループやLinkedInの意味、メールよりチャットが有効なシーンという感じの内容です。
これらを補足として以下に綴っておきます。
FBとLinekdInの価値
FBやLI(=LinkedIn)は、あくまでもひととなりを知るための公の履歴書のようなものです。
FBやLIがない時は、紹介してもらう人の人となりや考え方が見えませんでした。
しかしFBやLIが発達した現在、初めて会う人や紹介を受けたときにまずタイムラインを見るなんてことをやった記憶がある方も多いのではないでしょうか?
事前に相手を知ることで、安心できたり、事前に準備できたり、共通の話題を探せるといった点に価値があります。
FBメッセージ/FBグループとLINE/LINEグループの意味合い
fbメッセージやFBグループの強みは、関係者を一撃で招待できることです。
これはメール時代にいちいちメーリスを作って、メールアドレスを打ち込んでグループを作ってとやっていたことを考えると圧倒的利便性です。
しかしこれが成立するのは、FBやLINEというプラットフォーム上に相手がいるということが前提になります。
おそらくプライベートな場所で相手にあった時も、「FBやってる?」「LINEやってる?」と相手が利用していることを一言確認した上で交換していると思います。
これはつまり、FB/LINEアカウントを持っていなかったり、人によっては見ているだけという可能性が残されているという不安を表しています。
その不確実性がある時点でSNSのコミュニケーション機能はオフィシャルな連絡としては成立しにくくなっています。
そのため、直接確認の取れる社内や身内グループではFBメッセージやLINEグループで連絡を取り、社外ではメールを用いるという使い分けが進むのです。
その結果、仕事でFBやLINEを使っている人が増えるので、どうやら仕事でもFBやLINEが使えるらしいぞという話になります。
しかしそれはメールの利用価値がなくなっていることの理由にはならないのです。
ビジネスでチャットの方が好都合となるケース
このようにメールを写し鏡とし、ビジネスでのチャットの利用シーンを定義すると以下のようになると思います。
相手が利用しているということが確実になり、スピードと利便性が成果が向上するのであれば利用すべし
ここから、BtoCの接点としてチャットという手法を利用することが最近流行ってきているのです。
つまり、堅苦しくなく簡単に問い合わせられ、すぐに回答が来るチャットという窓口は、消費者からするとメールより魅力的なのです。
コンバージョン=コミュニケーションのスピード×コミュニケーションの質
と定義できるのでチャットが有効なのです。
※もちろんこれをAI(=人工知能)で解決しようとするアプローチもあります。
このように、消費者視点からも事業者視点からもチャットを窓口とすることが今の時代の理にかなっているのです。
toCのビジネスをしている場合、「チャット対応OK」と宣言することは消費者の心理的障壁を下げる大きな要因となるはずなのです。
ビジネス上のメールとチャットの使い分け基準
上記よりチャットを導入した方がいいビジネスは、
- BtoCかCtoCビジネスをしている
- 対応スピードやフォローが購買や意思決定に影響する
- 一人で購入を意思決定するオンラインビジネス
となります。
一方メールを利用した方がいいビジネスは、
- BtoBビジネスをしている
- スピードもさることながら、安心感や正確性、エビデンスが重視される
- 意思決定に複数の人が関与するオンライン/オフラインビジネス
となります。
このように、目的とターゲットを明確にした上で使い分けるのが良いと思います。
おまけ
昔の自分って、今以上にとんがってたんだなとノスタルジー。
羨ましい反面、今の状態も悪くないのかなと。
大人になるって、多分そういうこと。